スマートフォンやタブレット、ワイヤレスイヤホンなどの普及により、モバイルバッテリーは外出時の必需品となりました。
しかし一方で、モバイルバッテリーの発熱・膨張・発火事故がニュースで取り上げられることもあり、バッテリーの安全性に対する関心が高まっています。
こうした中で注目されているのが、準固体電池を採用したモバイルバッテリーです。
準固体電池は、従来のリチウムイオン電池の性能を維持しながら
- 発火リスクの低減
- 高温環境への耐性
- 長寿命化
を実現する次世代バッテリー技術として期待されています。
さらに近年では、電気自動車(EV)の分野でも準固体電池の研究が進んでおり、将来的にはスマートフォンやモバイル機器にも広く普及する可能性があります。
この記事では
- 準固体モバイルバッテリーの仕組み
- 従来のリチウムイオン電池との違い
- 安全性や寿命のメリット
- デメリットや課題
- 選び方
を図解付きでわかりやすく解説します。
1.準固体モバイルバッテリーとは?リチウムイオン電池との違い
準固体モバイルバッテリーとは、準固体電池(Semi-Solid State Battery)を採用したモバイルバッテリーのことです。
Point:準固体電池とは、電解質の一部を半固体(ゲル状など)にした次世代電池で、リチウムイオン電池と全固体電池の中間に位置する技術です。
一般的なモバイルバッテリーでは、リチウムイオン電池が使われています。
この電池は

で構成されており、リチウムイオンが電解液の中を移動することで電気エネルギーを蓄えたり放出したりします。
しかし、この液体電解液には
- 漏れやすい
- 高温に弱い
- 化学反応が起きやすい
といった弱点があります。
そこで開発されたのが、準固体電池です。
リチウムイオン電池と準固体電池の構造比較

リチウムイオン電池
準固体電池
リチウムイオン電池: 電解質がさらさらとした「液体」であるため、衝撃や高温時に漏洩しやすく、連鎖的な熱暴走のリスクを抱えています。
準固体電池: 電解質が「ゲル・半固体状態」に固定されています。このため、万が一の破損時でも中身が漏れにくく、熱に反応しにくい性質があります。これが「高い安全性」と「高温への耐性」を実現する最大の理由です。
共通点: どちらもリチウムイオンが正極と負極の間を移動することで充放電を行いますが、準固体電池は構造が安定しているため、1,000回を超える長寿命を期待できるメリットもあります。
各電池の違い
準固体電池は、従来のリチウムイオン電池と将来の全固体電池の中間に位置する技術です。
| 電池種類 | 電解質 | 安全性 | 量産性 | 製造コスト |
| リチウムイオン電池 | 液体 | 中 | 高い | 低い |
| 準固体電池 | 半固体 | 高い | 中 | 中 |
| 全固体電池 | 固体 | 非常に高い | 低い | 高い |
現在、全固体電池は量産化が難しいため、実用性と安全性のバランスが良い準固体電池が注目されています。
2.なぜ今「準固体」が注目されるのか?EV技術からの波及とメリット
発火リスクを抑えられる
リチウムイオン電池の事故の多くは、熱暴走(サーマルランアウェイ)が原因です。
熱暴走とは、電池内部で温度が上昇し続け、化学反応が連鎖的に進むことで発火する現象です。
熱暴走の流れ

準固体電池では電解質の粘度が高いため、反応が急激に広がりにくく、熱暴走のリスクを抑えられる可能性があります。
高温環境に強い
夏の車内などでは、モバイルバッテリーが高温になることがあります。
液体電解液は高温で分解しやすいのに対し、準固体電池は熱安定性が高い材料を使用しています。
温度耐性比較

長寿命
準固体電池では電解質の劣化が少ないため、充放電サイクル寿命が長いとされています。
・リチウムイオン電池
約500〜800回
・準固体電池
約1000回以上
EVバッテリーとの関係
準固体電池は、電気自動車(EV)の分野でも重要な技術です。
EVバッテリーには
- 高エネルギー密度
- 長寿命
- 高い安全性
が求められます。
そのため、世界中の電池メーカーや自動車メーカーが準固体電池の研究開発を進めています。
技術波及
EVバッテリー技術
↓
電池技術進化
↓
モバイル機器
多くの電子機器技術は、自動車分野から小型機器へ応用されることが多いため、準固体電池も同様の流れになる可能性があります。
モバイルバッテリー技術の進化
モバイルバッテリーの電池技術は、次のように進化してきました。
技術ロードマップ
ニッケル水素電池
↓
リチウムイオン電池(現在の主流)
↓
準固体電池(今後主流になる可能性)
↓
全固体電池(研究段階)
今後は安全性の向上を目的として、準固体電池の採用が増える可能性があります。
3.従来のリチウムイオン電池との安全性比較

準固体電池は、なぜ従来のリチウムイオン電池より発火リスクが低いとされているのでしょうか。 その理由は主に次の3つです。
① 電解液が漏れにくい
一般的なリチウムイオン電池では、電解質として液体電解液が使用されています。
この液体電解液は可燃性の有機溶媒を含んでいるため、
- 電池の損傷
- 内部短絡
- 高温状態
などが発生すると、発火の原因になる可能性があります。
一方、準固体電池では電解質がゲル状または半固体状態になっているため、液体電解液のように漏れたり広がったりする可能性が低くなります。
その結果、燃焼が拡大するリスクを抑える効果が期待されています。
② 熱暴走が起きにくい
リチウムイオン電池の事故の多くは、熱暴走(サーマルランアウェイ)と呼ばれる現象が原因です。
熱暴走は次のような流れで発生します。

準固体電池では、電解質の粘度が高くイオンの移動が制御されやすいため、反応が急激に広がりにくいとされています。
そのため、万が一異常が発生しても反応が連鎖的に拡大する可能性を抑えられると考えられています。
③ 電池内部の構造が安定しやすい
リチウムイオン電池では、充放電を繰り返すことで
- 電極の劣化
- デンドライト(リチウム金属の枝状結晶)
- 内部短絡
が発生することがあります。
準固体電池では、半固体の電解質が電極の構造を安定させる働きを持つため、内部の化学反応が比較的安定しやすいという特徴があります。
これにより、長期使用時の電池トラブルの発生リスクが低減する可能性があります。
ただし「完全に発火しない」わけではない
準固体電池は安全性が高いとされていますが、発火リスクが完全になくなるわけではありません。
モバイルバッテリーは精密な電子機器のため、次のような状況では事故の可能性があります。
- 強い衝撃や、曲げたりねじったりといった負荷をかける
- 極端な高温環境
- 非純正充電器の使用
- 経年劣化
そのため、安全に使用するためには
- 極端な高温環境を避ける
- 破損したバッテリーを使用しない
- 信頼できるメーカー製品を選ぶ
といった基本的な注意も重要です。
準固体モバイルバッテリーのメリット
主なメリットは次の通りです。
安全性が高い:熱暴走のリスクを抑えられる可能性があります。
高温耐性:夏場でも安定しやすい。
長寿命:充放電サイクルが多い。
次世代技術:将来性が高い。
準固体モバイルバッテリーのデメリット
もちろんデメリットもあります。
価格が高い:新技術のためコストが高い傾向があります。
製品数が少ない:まだ普及途中の技術です。
技術開発中:今後さらに性能が改善される可能性があります。
次世代バッテリー性能比較
| 項目 | リチウムイオン | 準固体 | 全固体 |
| 安全性 | ★★★ | ★★★★ | ★★★★★ |
| 寿命 | ★★★ | ★★★★ | ★★★★★ |
| エネルギー密度 | ★★★ | ★★★★ | ★★★★★ |
| 製造コスト | ★★★ | ★★ | ★ |
| 実用化 | 普及済 | 一部製品 | 研究段階 |
現時点では、安全性・コスト・実用性のバランスが最も良いのが準固体電池といえます。
4.失敗しない準固体モバイルバッテリーの選び方|容量・急速充電・PSEマーク

準固体モバイルバッテリーを選ぶ際には、次のポイントを確認すると自分の使い方に合った製品を選びやすくなります。
- 容量(mAh)
- 急速充電対応
- 安全認証(PSEマーク)
ここでは特に重要な容量と急速充電について、どんな人に向いているかも含めて解説します。
容量(mAh)
モバイルバッテリーの容量は「mAh(ミリアンペアアワー)」で表示されます。
数値が大きいほど、より多くの電力を蓄えることができます。
一般的なスマートフォンは3000〜5000mAh程度のバッテリーを搭載しているため、容量によって充電できる回数が変わります。
| 容量 | スマホ充電回数目安 | おすすめの人 |
| 5000mAh | 約1回 | 軽く持ち歩きたい人 |
| 10000mAh | 約2回 | 日常使い |
| 20000mAh | 約4回 | 旅行・出張 |
5000mAhが向いている人
- 通勤や通学で使用する
- 荷物を軽くしたい
- スマートフォンを1回程度充電できれば十分
コンパクトなモバイルバッテリーが多く、軽い持ち歩き用途に向いています。
10000mAhが向いている人
- 外出時間が長い
- スマートフォンを1〜2回充電したい
- タブレットやイヤホンも充電する
10000mAhはモバイルバッテリーの標準容量で、多くの人にとってバランスの良い容量です。
20000mAhが向いている人
- 旅行や出張が多い
- ノートPCやタブレットも充電したい
- 災害時の備えとして使いたい
容量が大きい分、本体サイズも大きくなりますが、長時間の外出や複数デバイスの充電に適しています。
急速充電(USB Type-C / PD対応)
急速充電とは、通常よりも短時間でデバイスを充電できる機能です。
最近のモバイルバッテリーでは
- USB Type‑C
- Power Delivery(PD)
に対応したモデルが主流になっています。
PD対応の場合、スマートフォンだけでなくタブレットやノートPCも充電できる場合があります。
急速充電が向いている人
急速充電対応モバイルバッテリーは、次のような人におすすめです。
外出先で短時間だけ充電したい人:カフェや移動中など、短時間で充電したい場合に便利です。
スマートフォンをよく使う人:動画視聴やゲームなどで電池消費が多い人に向いています。
ノートPCやタブレットも充電したい人:PD対応モバイルバッテリーなら、スマートフォン以外の機器にも対応できる場合があります。
安全認証(PSEマーク)
日本国内で販売されるモバイルバッテリーには、PSEマークが必要です。
PSEマークは、電気用品安全法に基づき、製品が定められた技術基準に適合していることを示す表示です。
必ずPSEマークのある製品を選ぶようにしましょう。

<特定電気用品以外の電気用品マーク>
選び方まとめ
モバイルバッテリーを選ぶ際は、次の基準を参考にすると選びやすくなります。
- 日常使い → 5000~10000mAh
- 旅行・出張 → 20000mAh
- 短時間充電 → 急速充電(PD対応)
準固体モバイルバッテリーは安全性が高いとされているため、容量や充電性能とあわせて選ぶことで、より安心して使用できます。
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5.よくある質問(FAQ)
Q. 準固体モバイルバッテリーは安全ですか?
A.従来のリチウムイオン電池よりも、熱安定性が高いとされています。
Q. 準固体電池と全固体電池の違いは?
A.準固体電池は半固体電解質、 全固体電池は完全固体電解質を使用します。
Q. 安全なモバイルバッテリーの選び方は?
A.安全のために、PSEマークが付いている製品を選ぶことが重要です。
PSEマークとは、日本の電気用品安全法に基づき、安全基準を満たした電気製品に表示されるマークです。
モバイルバッテリーもこの法律の対象になっており、日本国内で販売される製品にはPSEマークの表示が義務付けられています。
そのため、購入する際はパッケージや本体にPSEマークが表示されているかを確認しましょう。

<特定電気用品以外の電気用品マーク>
Q. 準固体電池はいつ普及しますか?
A.EVや電子機器の分野で研究が進んでおり、今後普及する可能性があります。
6.まとめ
準固体モバイルバッテリーは
・発火リスクを抑えられる可能性
・高温環境に強い
・長寿命
といった特徴を持つ次世代バッテリーです。
従来のリチウムイオン電池より安全性が高いと期待されており、
今後モバイル機器やEV分野での普及が期待されています。
モバイルバッテリーの安全性を重視する場合は、PSEマークのある準固体モバイルバッテリーを選ぶことが重要です。
日常での使用が多いモバイルバッテリー、安全性を求めるなら、準固体電池を採用した製品を検討してみるのも良いでしょう。
本記事で皆さまのカーライフが少しでも快適になるお手伝いができれば幸いです。