失敗しない油圧式フロアジャッキの選び方とは?耐荷重・最低位・安全弁を解説

車の整備やタイヤ交換に欠かせない油圧式フロアジャッキ。しかし、種類やスペックが多く、どれを選べばいいのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
本記事では、失敗しないジャッキ選びのために押さえておきたい「耐荷重」「最低位」「安全弁」などの基本ポイントをわかりやすく解説します。さらに、用途別のジャッキ比較、安全に作業を行うための手順、長く使うためのメンテナンス方法まで、実用的な情報をまとめています。安心・安全に使える一台を選ぶために、ぜひ最後までお読みください。
油圧式ジャッキの用途別比較
油圧式ジャッキには様々な種類があります。用途に応じて適切なジャッキを選ぶことが重要です。例えば、軽自動車には小型のジャッキが適していますが、SUVやミニバンにはより強力なジャッキが必要です。また一輪だけを上げるのか二輪同時にあげるのかでも違ってきます。一輪だけを上げる場合はパンタグラフジャッキや小型のフロアージャッキ、二輪を上げる場合は大型のフロアージャッキやガレージジャッキが候補になります。さらにはジャッキポイントは車種によって様々ありますので、形状にあったジャッキ又はジャッキに装着するアダプターを選択してください。ジャッキの種類と特徴を以下にまとめました。
フロアジャッキ(ガレージジャッキ)
メリット
キャスター安定性が高い、前二輪・後二輪を同時に上げられるタイプもある
デメリット
重い、収納に場所をとる
パンタグラフジャッキ
メリット
比較的軽い、持ち運びしやすい収納に場所を取らない
デメリット
安定性が低い、サイド上げのジャッキポイントでしか上げられない
ボトルジャッキ
メリット
垂直に上がるので最高位が高い、持ち運びしやすい、収納に場所を取らない
デメリット
安定性が低い、最低位が高い(ジャッキポイントによっては設置できない車もある)
油圧式ジャッキの選び方
油圧式ジャッキを選ぶ際には、以下のポイントを考慮しましょう。
耐荷重
ジャッキの耐荷重は、持ち上げる車両の重量に対応できるものでなければいけません。車両の総重量を確認し、それに見合った耐荷重を持つジャッキを選びましょう。耐荷重ギリギリで作業すると、ジャッキの変形等により車両が落下する可能性がありとても危険です。目安は耐荷重が車両の重量の1.5倍あれば安心です(総重量が1Tなら耐荷重1.5T)積み荷などは車外に降ろした状態で作業をお願いします。
最低位と最高位
ジャッキの最低位は、車両の下にスムーズに差し込めるかどうかを決定します。車両の地上高を確認し、それに合った最低位を持つジャッキを選びましょう。ジャッキの最低位が車高よりも高い場合はジャッキを設置できません。最高位はジャッキアップ後に作業が出来る高さまで上げられるかを確認します。タイヤ交換ならタイヤが2~3cm程浮く高さがあればタイヤの脱着が可能です。
ジャッキポイントの形状と位置
ジャッキポイントの形状は車種により様々です、形状が合わないままジャッキアップするとジャッキポイントの変形や、ジャッキポイントから外れ車体が落ちるなど、非常に危険です。必ず形状が合ったジャッキ又はアダプターを選択してください。またジャッキを設置した後、ジャッキアップする作業スペースが取れるかどうかも確認が必要です。 ジャッキポイントまで距離があるようなら全長が長いタイプを選択しましょう。
安全弁
安全弁は、過負荷時にジャッキが破損するのを防ぐ重要な機能です。安全弁付きのジャッキを選ぶことで、作業中の安全性を高めることができます。またジャッキダウンする際、急にリリースバルブを緩めると車両が一気に下がり危険です。必ずゆっくりリリースバルブを緩めてください。ジャッキダウン時にゆっくり下がる、スローダウン機構が付いたジャッキならさらに安全です。
安全作業プロセス
ジャッキを使用する際には、以下の安全作業プロセスを守りましょう。
1.平坦で安定した場所に車両を停める。
平坦でない場所で作業を行いますとジャッキの転倒、変形等により大変危険です。必ず平坦で安定した場所で作業を行ってください。また周囲の安全も確保してください(特に子供やペット)
2.タイヤストッパーをセットし、ジャッキポイントを確認後正確にジャッキを設置する。
タイヤストッパーは作業する側と反対側のタイヤに設置してください。例えば、右前のタイヤを外したい場合は左後ろのタイヤにタイヤストッパーを設置してください。またジャッキポイントは必ず形状が合ったジャッキかアダプターを使用してください。形状が合わないままジャッキアップするとジャッキポイントの変形や、ジャッキポイントから外れる等、非常に危険です。
3.車両とジャッキの様子を見ながらジャッキアップする。
車両は不安定ではないか、フロアジャッキなどであればジャッキ本体が車に追従しているか、ジャッキは変形していないか等をチェックしながらジャッキアップしてください。
4.ジャッキスタンドを使用して車両を支える。
図の様に前二輪を上げて作業する場合、ジャッキだけでタイヤ交換等の作業は非常に危険な為、絶対に止めてください。車両のサイド上げ用ジャッキアップポイントに、ジャッキスタンドと必要であればジャッキアダプターを使用し作業をお願いします。ジャッキスタンドは車両の総重量に対して余裕のある耐荷重を使用してください。耐荷重が足りないと変形し車両が落下する恐れがあり大変危険です。またジャッキスタンドは必ず二個一組で使用してください。
5.作業終了後にジャッキスタンドを取り外す。
ジャッキスタンドを外す際には、車両の下に工具等が無いか確認し周囲の安全も確保してください(特に子供やペット)ジャッキスタンドに荷重が掛かった状態では外せないので再度ジャッキアップします。ジャッキスタンドを取り外す際は慎重に外します。
6.ジャッキダウンする。
リリースバルブをゆっくり緩めてジャッキダウンします。急にリリースバルブを緩めると車両が一気に下がり大変危険です、必ずゆっくりリリースバルブを緩めてください。スローダウン機能の付いたジャッキなら万が一リリースバルブを一気に開けてしまった場合でもゆるやかにジャッキダウンをするため、さらに安全です。
油圧式ジャッキを長持ちさせるメンテナンス技
1.使用後は清掃し、汚れを取り除く。
2.定期的にジャッキ内部のオイルを交換する。
3.可動部分に潤滑油を塗布する。
4.保管時は湿気の少ない場所に置く。
まとめ
油圧式フロアジャッキを選ぶ際には、耐荷重、最低位、安全弁などの安全面を考慮し、ポイントをしっかりと確認しましょう。また、安全作業プロセスを守り、定期的なメンテナンスを行うことで、ジャッキを長持ちさせることができます。